失業や病気、離婚、収入の減少などにより、生活費や家賃の支払いが難しくなることは、誰にでも起こる可能性があります。
「貯金がほとんど残っていない」
「家賃を滞納している」
「病気で働けず、医療費も払えない」
「年金だけでは生活できない」
このような状況になったとき、生活を立て直すために利用できる制度のひとつが生活保護です。
生活保護は、生活に困っている方に対して最低限度の生活を保障するとともに、就職や健康回復などを通じて自立を支援する制度です。特別な人だけが利用する制度ではなく、一定の条件に該当すれば誰でも申請できます。
この記事では、大阪で生活保護を検討している方に向けて、制度の基本的な仕組みや申請条件、支給される費用、申請から決定までの流れ、相談窓口についてわかりやすく解説します。
生活保護とは
生活保護とは、さまざまな事情によって生活が成り立たなくなった方に対して、国が定めた基準に基づいて必要な保護を行う制度です。
目的は、単に生活費を支給することだけではありません。
生活に必要な費用を保障しながら、就職や治療、介護サービスの利用などを支援し、その人や世帯が安定した生活を送れるようにすることも目的としています。
生活保護費は、すべての人に一律で同じ金額が支給されるわけではありません。
厚生労働大臣が定める最低生活費と、世帯全体の収入を比較し、収入が最低生活費を下回る場合に、その不足分が生活保護費として支給されます。
例えば、最低生活費が月額13万円と判断された世帯に、年金などの収入が月額5万円ある場合、原則として差額となる8万円が保護費として支給される仕組みです。
実際の金額は、次のような条件によって異なります。
- 居住している地域
- 世帯人数
- 年齢
- 家賃
- 障がいや病気の有無
- 介護の必要性
- 世帯全体の収入
そのため、「大阪で生活保護はいくらもらえるのか」という質問に対して、一律の金額を示すことはできません。
詳しい金額については、お住まいの地域を担当する福祉事務所や区役所の生活保護担当窓口で確認する必要があります。
大阪で生活保護を受けるための条件
生活保護は、生活が苦しいという理由だけで自動的に支給される制度ではありません。
預貯金や資産、収入、働く能力、年金や手当などを活用しても、世帯の収入が国の定める最低生活費に届かない場合に利用できます。
主に次のような点を確認したうえで、生活保護が必要かどうかが判断されます。
預貯金や資産を生活のために活用していること
生活保護を申請すると、預貯金、不動産、生命保険、自動車などの資産について確認が行われます。
生活費として活用できる預貯金が十分にある場合は、まずその預貯金を生活に使うことが求められます。
また、現在住んでいない土地や建物、利用していない高価な自動車など、売却して生活費に充てられる資産がある場合は、原則として処分を求められる可能性があります。
ただし、資産があるからといって必ず生活保護を受けられないわけではありません。
例えば、売却が難しい土地を所有している場合や、通勤・通院・障がいなどの理由で自動車が必要な場合など、事情によって保有が認められることがあります。
資産の扱いは個別の状況によって異なるため、自分だけで判断せず、窓口で事情を説明することが大切です。
働くことができる場合は能力を活用すること
働くことが可能な方は、その能力に応じて働くことが求められます。
ただし、「現在働いていない」というだけで生活保護を申請できないわけではありません。
就職活動をしていても仕事が見つからない場合や、働いていても収入が少なく生活できない場合は、生活保護の対象になる可能性があります。
また、病気や障がい、年齢、家族の介護、子育てなどの事情で十分に働けない場合もあります。
働けるかどうかは、年齢だけでなく、健康状態や家庭環境、就職状況などを踏まえて個別に判断されます。
年金や手当など、利用できる制度を活用すること
生活保護を受ける前に、年金、失業給付、傷病手当金、児童扶養手当など、利用できる社会保障制度がある場合は、原則として先に申請や利用を検討します。
ただし、年金や手当を受け取っているからといって、生活保護を利用できないわけではありません。
年金などの収入を含めても、世帯収入が最低生活費を下回っている場合は、不足分が生活保護費として支給される可能性があります。
「年金を受け取っているので申請できない」と思い込まず、生活が成り立たない場合は相談してみましょう。
親族から援助を受けられるか確認されることがある
生活保護の審査では、親や子ども、兄弟姉妹などの親族から援助を受けられるかどうかが確認される場合があります。
しかし、親族がいるという理由だけで生活保護を申請できないわけではありません。
親族にも生活上の余裕がない場合や、長年連絡を取っていない場合、家庭内暴力や虐待などの事情がある場合は、援助を受けることが難しいと判断されることがあります。
親族との関係に特別な事情がある場合は、相談時に担当者へ伝えることが重要です。
生活保護ではどのような費用が支給される?
生活保護には、生活状況や必要性に応じて複数の扶助があります。
大阪市の案内では、生活・住宅・教育・介護・医療・出産・生業・葬祭の8種類が示されています。
生活扶助
食費、衣服代、光熱費、日用品費など、日常生活に必要な費用を支えるものです。
世帯人数や年齢、地域などに応じて基準額が決められます。
住宅扶助
家賃や地代など、住居を確保するために必要な費用を支えるものです。
支給される金額には地域や世帯人数に応じた上限があります。
現在の家賃が基準を大きく上回っている場合は、状況によって家賃の低い住宅への転居を案内される可能性があります。
教育扶助
義務教育を受ける子どものために、学用品費や給食費などが支給されます。
子どものいる世帯が経済的な理由で教育の機会を失わないようにするための扶助です。
医療扶助
病気やけがの治療に必要な費用を支えるものです。
原則として、生活保護法による指定医療機関を利用し、医療費は福祉事務所から医療機関へ支払われます。
ただし、すべての治療や医療サービスが自由に利用できるわけではありません。受診方法については、担当ケースワーカーや窓口の案内を確認する必要があります。
介護扶助
介護保険サービスなど、介護に必要な費用を支えるものです。
高齢や障がいなどにより介護が必要になった場合に、必要性に応じて支給されます。
出産扶助
出産に必要な費用を支えるものです。
他の制度から出産費用が支給される場合は、その制度を優先して利用することがあります。
生業扶助
就職や自立に必要な技能を身につけるための費用、就職に必要な費用、高等学校などへの就学費用を支えるものです。
葬祭扶助
世帯員が亡くなった際、葬祭費用を負担できない場合に、必要な範囲で費用が支給されます。
大阪で生活保護を申請する流れ
大阪市で生活保護を相談・申請する場合、基本的には現在住んでいる区の保健福祉センターにある生活保護担当窓口へ相談します。
1.区役所の担当窓口へ相談する
まずは、お住まいの区を担当する保健福祉センターの生活保護担当窓口へ相談します。
相談では、現在の収入、預貯金、家賃、家族構成、健康状態、就労状況、借金などについて確認されます。
うまく説明できるか不安な場合は、現在困っていることを事前に紙へまとめておくと話しやすくなります。
例えば、次のような情報を整理しておきましょう。
- 現在の所持金と預貯金
- 毎月の収入
- 家賃や公共料金
- 滞納している費用
- 病気や通院の状況
- 仕事を辞めた時期
- 家族から援助を受けられるか
- 現在最も困っていること
生活保護以外の制度で生活を立て直せる可能性がある場合は、生活困窮者自立支援制度や貸付制度、各種手当などを案内されることもあります。
2.生活保護を申請する
生活保護は、相談するだけでは審査が始まりません。
生活保護を利用したい場合は、申請の意思を伝え、申請手続きを行う必要があります。
大阪市では、申請したい本人のほか、扶養義務者や同居の親族が申請できると案内されています。
必要書類がすべてそろっていない場合でも、まず相談や申請ができる場合があります。
所持金がほとんどなく、食事や住居を確保できないなど、緊急性が高い場合は、その状況を窓口で明確に伝えましょう。
3.生活状況や資産の調査が行われる
申請後は、生活保護が必要かどうかを判断するための調査が行われます。
主な調査内容は次のとおりです。
- 担当者による家庭訪問
- 預貯金や保険の確認
- 土地や建物などの資産確認
- 年金や手当の受給状況
- 給与や事業収入の確認
- 就労できる可能性の確認
- 親族から援助を受けられるかの確認
厚生労働省も、申請後に家庭訪問、資産調査、収入調査、就労可能性などの確認を行うと案内しています。
申請時には、通帳、本人確認書類、賃貸借契約書、給与明細、年金通知書、保険証などの提出を求められることがあります。
必要な書類は世帯によって異なるため、担当窓口の案内に従いましょう。
4.生活保護の開始または却下が決定される
大阪市では、生活保護の申請後、原則として14日以内に受給できるかどうかを決定し、書面で通知すると案内しています。
調査に時間がかかるなど特別な理由がある場合は、決定まで最長30日かかることがあります。
生活保護の開始が決定すると、世帯の収入や生活状況に応じた保護費が支給されます。
一方、生活保護が必要ではないと判断された場合は、却下理由が記載された通知書が届きます。
生活保護を受けながら働くことはできる?
生活保護を受けながら働くことは可能です。
「働いたらすぐに生活保護が打ち切られる」と思われることがありますが、必ずしもそうではありません。
給与などの収入があっても、世帯収入が最低生活費を下回っている場合は、不足する金額が生活保護費として支給される可能性があります。
また、就労収入には必要経費や一定の控除が認められる場合があります。
ただし、収入を得た場合は、金額にかかわらず福祉事務所へ正しく申告する必要があります。生活保護の受給中は、収入状況を毎月申告することが求められています。
給与だけでなく、年金、仕送り、保険金、臨時収入、インターネット販売による収入なども申告が必要になる可能性があります。
申告が必要か判断できない収入がある場合は、自分で決めず、担当ケースワーカーへ確認しましょう。
借金があっても生活保護を受けられる?
借金があるという理由だけで、生活保護を申請できなくなるわけではありません。
消費者金融やクレジットカード、家賃、公共料金などの滞納があっても、生活保護の条件を満たしていれば受給できる可能性があります。
ただし、生活保護費は最低限度の生活を保障するためのお金であり、原則として借金の返済に充てることは想定されていません。
借金の返済が難しい場合は、生活保護の相談とあわせて、弁護士や司法書士などに債務整理について相談する必要があります。
借金があることを隠す必要はありません。現在の返済額や督促状の状況などを整理し、窓口で正直に説明しましょう。
持ち家や自動車があっても申請できる?
持ち家や自動車がある場合でも、事情によっては生活保護を受けられる可能性があります。
持ち家については、資産価値が高く、売却することで生活費を確保できる場合は、売却を求められることがあります。
一方で、資産価値が低い場合や、売却するとかえって住居費が高くなる場合、高齢者が長年居住している場合などは、そのまま居住することが認められる可能性があります。
自動車についても原則的な制限はありますが、公共交通機関が利用しにくい地域での通勤、障がいのある方の通院、仕事上必要な場合など、個別事情によって保有が認められることがあります。
持ち家や自動車があるから申請できないと決めつけず、まずは相談しましょう。
仮に阿倍野区で生活保護を相談する場合
阿倍野区にお住まいの方は、阿倍野区役所の保健福祉課生活支援グループが生活保護の相談・申請窓口です。
大阪市の案内では、阿倍野区役所3階35番窓口で生活保護に関する相談や支援を行っています。
阿倍野区保健福祉課 生活支援グループ
所在地:大阪市阿倍野区文の里1丁目1番40号
窓口:阿倍野区役所3階35番窓口
電話番号:06-6622-9872
窓口や電話番号は変更される可能性があるため、相談前に大阪市または阿倍野区役所の公式ホームページで最新情報をご確認ください。
また、生活保護を受ける前の段階で、仕事、家計、住居などの問題を相談したい方は、阿倍野区役所1階7番窓口の「仕事・生活・自立相談あべの」を利用できる場合があります。
この窓口では、生活保護を受給していない阿倍野区民を対象に、生活の自立に向けた相談支援を行っています。
生活保護の相談は早めに行いましょう
生活保護について調べている方の中には、「まだ相談するほどではない」「もっと大変な人が利用する制度だ」と考え、相談を先延ばしにしてしまう方もいます。
しかし、預貯金をすべて使い切り、家賃や公共料金を滞納してからでは、生活を立て直すことが難しくなる場合があります。
次のような状況にある場合は、早めに相談することが大切です。
- 手元のお金がほとんどない
- 家賃を滞納している
- 電気やガス、水道が止まりそう
- 食費を確保できない
- 病院へ行くお金がない
- 失業し、次の仕事が決まっていない
- 年金だけでは生活できない
- 家族から援助を受けられない
- 住居を失う可能性がある
生活保護を利用できるかどうかを自分だけで判断する必要はありません。
生活状況や家族構成、収入、資産などによって判断が異なるため、まずは現在住んでいる地域の福祉事務所や区役所へ相談しましょう。
まとめ
生活保護は、病気や失業、収入減少などによって生活が成り立たなくなった方の最低限度の生活を保障し、自立を支援する制度です。
大阪で生活保護を検討している場合は、現在住んでいる市区町村を担当する福祉事務所や、大阪市内であれば各区の保健福祉センターへ相談します。
生活保護を利用できるかどうかは、世帯全体の収入、預貯金や資産、健康状態、就労状況などを確認したうえで個別に判断されます。
年金を受給している方、働いている方、借金がある方、持ち家がある方でも、状況によっては生活保護の対象になる可能性があります。
生活費や家賃、医療費の支払いが難しい場合は、一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で相談することが大切です。
※本記事は生活保護制度を一般的に説明するものであり、受給の可否や支給金額を保証するものではありません。制度や窓口情報は変更される場合があるため、最新情報は厚生労働省、大阪府、大阪市、お住まいの自治体の公式ホームページでご確認ください。
